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第5話 「ギルドに帰還 前編」

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「メイ!」
名前を呼ばれて顔を上げると、サファイアが寄って来るのが見えた。

サファイアがギルドにやって来たのは、メイとほぼ同じ時期だ。
その当時、今のメイと同じぐらいの年齢だった彼女とは比較的年齢も近く、普段から何から良くしてくれる。
サファイアにとっても、メイはとっつきやすい存在なのだろう。

「サファイア、ただいま~」
「仕事帰りかしら?上手くいった?」
「うん、仕事は上手くいったんだけど…ねー。
その後、色々大変な目に遭ったよ。とほほ」

 

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「あらあら…でも、無事に帰って来てくれて嬉しいわ。
そうそう、この前あなたが盗み出してくれた積荷のお金が入ったわよ。
サイドテーブルにしまっておいたから、後で確認してね」

 

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「サファイアありがと~」

少し前、メイはサファイアと一緒に仕事をした。
と言ってもギルドが顧客から請け負った依頼ではなく、サファイアが個人的に行っている取引だ。

彼女は高利貸しのようなことをしており、その収入を増やすためにメイも協力した。
ホワイトランからリフテンに運ばれる積荷を盗むというのが、メイに任せられた仕事内容だった。
サファイアは交渉事には達者だが、盗みはあまり得手ではなく、そのためにメイに協力を仰いだのだ。
因みに、バイパーも協力者として志願したのだが、サファイア本人にきっぱりと棄却された。

自分が積荷を盗むことが、高利貸しというサファイアの仕事にどう利益をもたらすのか、
メイはそれほど正確に理解しているわけではない。
だが、サファイアが喜んでくれることで自分に出来ることなら何でもしたいと思っている。

 

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これから馬屋で働くシャドルに会うのだと言って、サファイアは街へと繰り出して行った。
彼女を見送った後、ルーンの姿を見つけたメイは彼へと駆け寄る。

「あ、ルーン」
「ああ、メイか。帰って来たんだな」
「うん、何とか。2回ぐらい死に掛けたけどね~」
「2回、だって?ははは、お前もなかなかしぶといな」

死にかけたというのを、ルーンは何かの比喩だと思ったのだろう。
軽く笑って聞き流す。

実際は首を落とされかけ、ドラゴンから這う這うの体で逃げて来たりと洒落にならない事態だったのだが。

 

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「ごめんね、ルーン。今回も例の文字について何人かに聞いてみたんだけど、何もわかんなかった」

少し沈痛な面持ちでルーンにそう告げた。
レイロフとの会話の中で登場した「友達」というのが、このルーンのことだ。
彼は幼い頃に乗っていた船がソリチュード沿岸で難破し、今の養父である漁民に保護された。
その時に不思議なルーン文字が刻まれた小石を握り締めていたことから、それがもしかしたら
自分の出自に繋がるかもしれないということで、長年調査を続けているのだ。

ルーンにその話を聞いてから、メイも行く先々で注意して手掛かりに繋がりそうなものを探すのが習慣になっている。
今度の旅でも、立ち寄った小さな集落で会った人々やレイロフに尋ねてみたものの、成果は得られなかった。
しかしルーンは気にする風もなく、いや、と首を横に振った。

 

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「いつもありがとう。こうして気にかけて貰えて嬉しいよ」

そう言った彼の背後の棚には、一通の手紙が置かれている。
昨日届いたばかりの手紙で、宛先はとある情報屋だ。
それに記されているのは、「手を尽くしたものの手掛かりは得られなかった」といった旨だ。

「また地道に探すよ」
「うん。あたしも注意しておくね」

 

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りんごをいくつか失敬しようと、食料を貯蔵してある棚へと向かう途中で何やら話し込んでいるバイパーとニルインに擦れ違った。
いつものような馬鹿騒ぎではなく、どこか深刻な様子で、気になって思わず足を止めた。

「ヴァレンウッドにまだツテがあるんだ。そこで仕事を貰えるかもしれない。
喜んで迎え入れるよ」
「心に留めておくよ」
「ヴァレンウッド?」

 

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メイの言葉に2人とも同時に振り返った。

「ああ、メイか。戻ってたんだな」
「お、弓を新調したのか?」

「新調っていうか、拾ったっていうか…
それより、ヴァレンウッドってニルインの故郷だよね?」

ウッドエルフのニルインは、ここスカイリムより遥か南のヴァレンウッドの出身だ。
以前、そこで「銀の三日月」というギルドに所属していたと話すのを聞いたことがある。

スカイリムとヴァレンウッドとは遠く離れている。
ヴァレンウッドで仕事を請け負うとなると、スカイリムを、このギルドを出て行くということになる。

 

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「2人とも、ここを出てヴァレンウッドに行ちゃうの?」

メイが尋ねると、バイパーもニルインも決まり悪そうに笑った。

「いや、そんな深刻な話じゃないんだ。
ここ最近あんまりに稼ぎが悪かったからな、ちょっとニルインに零してたんだよ」
「ツテがあるってだけの話で、いますぐここを出るつもりつもりはないよ。
何だかんだ言って居心地いいしな。
…それに、ヴァレンウッドに戻るのはあまり気が進まない」
「そっかー」

安堵し、胸を撫で下ろすメイ。
その時、はたとあることに気付いた。

 

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「今、バイパーが言った稼ぎで思い出した!
あたし、そーいえば最近買ったばっかのリボンとかお小遣いとか全部盗られちゃった!
せっかく稼いだのに!」

メイのこの言葉には、2人も思わず吹き出した。

 

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「盗賊なのに盗まれる側かよ!」
「いくら何でもシャレにならないな」
「う~。盗まれたわけじゃないんだけどさ」

正確には、帝国軍に捕まった時に所持品を全て取り上げられて、しかもお気に入りの服から粗末な服に着替えるよう強制されたのだ。
あの時に押収された荷物は、おそらく今頃はヘルゲンで灰になっているだろう。

 

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詳しい事情を説明すると余計にからかわれそうな気がして、メイはいそいそとその場を立ち去る。
「反乱軍の野営地で馬を盗もうとして、彼らを捕縛するためにやって来た帝国軍に捕まって処刑されかけた」など、
ギルドの仲間には絶対知られたくない。
メイは強くそう思い、隠し通そうと改めて決意した。

このだだっ広い貯水池から細い通路を抜けると、ラグド・フラゴンという酒場に出る。
早くラグド・フラゴンに行こうと小走りになるメイだが、ある地点まで来て速度を落とす。